時間外労働の基礎知識(外国人技能実習生も含む)
企業は、就業規則で定めた「所定労働時間」(例えば、9時始業、昼休み休憩1時間、17時30分終業)が8時間未満であれば、この場合、労働時間は、昼休み休憩時間を引いた7時間30分となり、8時間に達成するまでは「割増賃金」を支払う必要はない。
8時間を超える部分について、「割増賃金」が発生する。
◆計算式 (時間単価)×(時間外労働の時間)×(割増率)
つまり、「割増賃金」は、
・9時~18時までは⇒⇒時間単価×1倍
・18時~22時⇒⇒時間単価×1.25倍
・22時~翌朝5時まで(深夜労働)⇒⇒時間単価×(1.25+1.25=1.5)倍
その他)
・1ヶ月当たり時間外労働が60時間を超えた場合⇒⇒その超えた時間の時間単価×1.5倍
・法定休日労働(週1日必ず休む日)に時間外⇒⇒(すべての労働時間)×1.35倍
・1年の途中で、昇給等によって、時間単価が変わってしまった場合、もう一度再計算が必要
◆「実労働時間」立証の材料(例)
・タイムカード
・出退勤管理のシステムの記録
・パソコンのログイン、ログオフ記録
・オフィスの入退館記録
・交通系ICカードの記録
・業務日報など
外国人技能実習生「技能実習評価試験」<農業・介護編>
技能実習には、
「1号」(1年)→「2号」(2年)→「3号」(2年)の移行があり、計最長5年の在留期間となります。
そこで各段階で行われる「技能実習評価試験」をご紹介します。内容は次の通り。
〇農業<実施団体は、一般社団法人全国農業会議所>
Ⅰ 対象職種
①耕種農業(「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」)
②畜産農業(「養豚」「養鶏」「酪農」)
Ⅱ 試験方法
・初級、専門級、上級試験有り
試験科目は、学科試験及び実技試験(すべて日本語)
試験会場は、実習生の居住地を勘案して決定
Ⅲ 申し込み方法
外国人実習機構に「受験申請連絡票」を提出(当機構のHPからダウンロード)
※詳しくは、全国農業会議所HPをご参照ください。
〇介護(実施団体は、一般社団法人シルバーサービス振興会)
Ⅰ 受験資格
・1号は日本語能力試験N4合格と同等又はそれ以上の能力を有していること
・2号は、原則、日本語能力試験N3合格と同等又はそれ以上の能力を有していること
■試験別受験資格要件と出題形式
◆初級試験
学科、実技(ともに必須)介護に関し6か月以上の実務経験を有する者
・・・・・〇✖式20問 60分・・・・
◆専門級試験
・学科、実技(ともに必須)介護に関し24か月以上の実務経験を有する者
・・・・・〇✖式30問 60分・・・・
◆上級試験
学科、実技(ともに必須)介護に関し48か月以上の実務経験を有する者
・・・・・多肢選択法 90分・・・・
※全国の事業所で実施。(学科・実技ともに同一日に実施)
※試験評価者が直接事業所に出向き、各試験を実施(出張方式)
※詳しくはシルバーサービス振興会にお問い合わせください。
国際結婚
国際結婚をご希望の方へ
在留資格は「日本人の配偶者等」(事実婚や内縁の配偶者を除く)です。
これは「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」と定義されています。
わかりやすくいうと、例えば
日本人(男性)が外国人(女性)と結婚する(男女逆の場合もあり)場合
◆最近入管にチェックされる点(例:すべてではありません)
①その結婚が真実なのかどうか?(例えば、目的が就労なのに、偽装で結婚などしていないか?)
②日本で安定した生活基盤があるか?
③夫婦間の会話の「共通言語」は何か?
④二人の本気度、結びつきの強さを証明するものがあるか?
これらを「二人の写真20点」「メール履歴」「結婚経緯説明書」「知人友人の祝福写真5点」などで証明していくことになります。
※二人の年齢差が15歳以上になってくると審査が厳しくなる場合が多いです。
※以前に離婚歴がある場合は、前婚についても厳しく審査されます。
外国人技能実習生「監理団体」が遵守すべき重要法令
外国人技能実習を規律する法律に、「入管法」と「技能実習法」「各省令・規則」がありますが、さらに「監理団体」「実習実施者」が遵守すべき重要な法令が、
労働関係法令である「労働基準法」「労働安全衛生法」「雇用機会均等法」「最低賃金法」「労働契約法」「パート・有期雇用契約法」「労働者派遣法」「職業安定法」「労働者災害補償保険法」「労働関係調整法」「労働施策総合推進法」他「各省令・規則」があります。
その中でも「労働基準法」「労働安全衛生法」は最重要法令です。
例えば、時間外労働(残業)を技能実習生や従業員(管理者を除く)にさせるには
①就業規則に残業ができる旨の定めがあること
②36協定(労使協定)の使用者と労働者代表等の間の協定書の締結、労基署への届出、事業場での掲示等
が必ず必要です。
※労働時間というと「法定労働時間」「所定労働時間」、休日というと「法定休日」と「法定外休日」があります。
※残業時間には、上限規制があります(45時間、360時間、80時間、100時間、720時間などの違い)
③各ハラスメントの防止措置義務には、「男女雇用機会均等法」「労働施策総合推進法」等の根拠条文に定められています。
④「安全衛生委員会」の設置と、毎月1回以上の開催、審議、議事の職場全体への周知
※罰則規定もあり、「監理団体」の許可取消しにつながり、技能実習生他関連各者に大きな影響を与える場合がありますので、十分にご留意ください。